労務管理事例集

労基法その他労働法

休日出勤を命じたらその日に年休を請求してきました。与えなければなりませんか。

 年次有給休暇は、本来の所定労働日に発生するものであり、所定休日においては発生する余地がありません。

 労基法39条第1項の年次有給休暇の規定にある「労働日」には、所定休日は含まれないと考えられます。また、年次有給休暇の趣旨は、通常の休日の他に一定日数の労働義務の無い日を与えることであり、所定休日における労働義務を免除するものではありません。そのため、休日出勤命令により所定休日に労働義務が発生したとしても、その日が、会社の定めた所定休日であることは変わりなく、労働者は、その労働義務の免除を受けるために年次有給休暇を請求することはできません。

  所定休日における労働義務の免除は、年次有給休暇の問題ではなく、もともとの労働義務を使用者がその労働者について除外するかどうかという問題になります。仮に使用者が労働義務を除外しなかったにもかかわらず労働者が休日出勤命令に従わない場合は、雇用契約、労働協約、時間外労働休日労働協定、就業規則等の定めにより懲戒適用の可能性の余地が生じます。(全てに懲戒が認められるわけではありません。)

 また、休職期間中に年次有給休暇を取得することができるか否かについて、会社に対して全く労働義務が免除されている場合において、労働義務がない日について年次有給休暇を請求する余地がないことから、休職中の者は年次有給休暇の行使ができないと取り扱ってよいとの行政解釈があります。

更新日 2021年10月20日

労基法第39条第1項 

(年次有給休暇)

 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

 長期休業中の労働者が年次有給休暇を請求した場合の取扱い

(昭24.12.28 基収第1456号)

 負傷又は疾病等により長期療養中の者が休業期間中年次有給休暇を請求したときは、年次有給休暇を労働者が病気欠勤等に充用することが許されることから、このような労働者に対して請求があれば年次有給休暇を与えなくてはならないと解する。

 休職発令により従来配属されていた所属を離れ、以後は単に会社に籍があるにとどまり、会社に対して全く労働の義務が免除されることとなる場合において、休職発令された者が年次有給休暇を請求したときは、労働義務がない日について年次有給休暇を請求する余地がないことから、これらの休職者は、年次有給休暇請求権の行使ができないと解する。

更新日:2006年09月18日
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