労務管理事例集

労基法その他労働法

1週間の所定労働日数が週3日勤務のパートタイマーが、契約変更により週4日勤務になりました。この場合、変更のタイミングで年次有給休暇の日数を増加しないといけないのでしょうか。

 一般の従業員と比較して所定労働日数が少ないパートタイマーなどに対しても、その所定労働時間にかかわらず、週または1年間の所定労働日数に応じた年次有給休暇を与える必要があります。この仕組みを「比例付与」といいます。

 従業員がこの「比例付与」の対象者となるか否かは、雇用契約における週の所定労働日数又は1年間の週所定労働日数によって決まります。(後半参照)そのため、雇用契約上パートタイマーの身分であっても週の所定労働日数又は1年間の所定労働日数が一般の従業員と同じであれば、一般の従業員と同じ年次有給休暇を付与しなければなりません。

 今回のように、週の所定労働日数が変更になった場合においては、変更になった直後の基準日(年次有給休暇付与日)時点の勤務形態によって付与日数を決めることになります。今回の場合は、所定労働日数が変更になった時に付与日数を増加させる必要はなく、週4日に変更になった日後の基準日において、週4日に応じた日数の年次有給休暇を付与することになります。

2022年2月3日 特定社会保険労務士 杉山 定広


【労働基準法 第39条】(年次有給休暇)

 ③ 次に掲げる労働者(一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前二項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第一号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。

一 一週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者

二 週以外の期間によつて所定労働日数が定められている労働者については、一年間の所定労働日数が、前号の厚生労働省令で定める日数に一日を加えた日数を一週間の所定労働日数とする労働者の一年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者


【労働基準法施行規則】

第24条の3 法第三十九条第三項の厚生労働省令で定める時間は、三十時間とする。

② 法第三十九条第三項の通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数は、五・二日とする。

③ 法第三十九条第三項の通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数は、同項第一号に掲げる労働者にあつては次の表の上欄の週所定労働日数の区分に応じ、同項第二号に掲げる労働者にあつては同表の中欄の一年間の所定労働日数の区分に応じて、それぞれ同表の下欄に雇入れの日から起算した継続勤務期間の区分ごとに定める日数とする。

週所定労働

日数

一年間の所定労働

日数

雇入れの日から起算した継続勤務期間

6カ月

1年

6カ月

2年

6カ月

3年

6カ月

4年

6カ月

5年

6カ月

6年

6カ月以上

4日

169日~216日

7日

8日

9日

10

12

13

15

3日

121日~168日

5日

6日

6日

8日

9日

10

11

2日

73日~ 120日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日

48日~

72

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日



(昭和63.3.14 基発150号 婦発47号)

(問)

  法39条第3項の適用を受ける労働者が、年度の途中で所定労働日数が変更された場合、休暇は基準日において発生するので、初めの日数のままと考えるのか、それとも日数の増減に応じ、変更すべきと考えるのか。

(答) 

 見解前段のとおり

更新日:2022年02月03日
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