労務管理事例集

社会保険

新たに入社した従業員が同月内で退職となりました。社会保険料の徴収はどうなりますか。

 社会保険料の徴収は、原則として「月末時点で被保険者資格があるかどうか」で判断しますが、資格取得と資格喪失が同月内に発生した場合(「同月得喪」といいます)は、月内に1日でも被保険者として在籍していれば、月の途中で資格を喪失した場合でも1ヶ月分の社会保険料が発生します。そのため、同月得喪の場合は、「月末時点で被保険者資格があるかどうか」に関わらず本人負担分を徴収することになります。

 ただし、厚生年金保険料については、該当の従業員が資格喪失をした同月内に他の年金制度の被保険者となったときは、その月の保険料はかかりません。資格喪失後の年金制度について会社は知りえないため、納め過ぎた厚生年金保険料に関し、年金事務所から今後発生する厚生年金保険料からの調整(減額)又は還付請求手続の案内(「同月中に被保険者資格を取得・喪失された被保険者に関するお知らせ」)が会社に届きます。調整(減額)、還付のどちらにしても、本人から徴収した厚生年金保険料については、本人の口座へ振り込むなどして返金する必要があります。健康保険料、介護保険料については、還付は発生しませんのでご注意ください。

2022年5月7日 社会保険労務士 堀 良司

【厚生年金保険法】

第十九条 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。

2 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を一箇月として被保険者期間に算入する。ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(国民年金法第七条第一項第二号に規定する第二号被保険者を除く。)の資格を取得したときは、この限りでない。

3 被保険者の資格を喪失した後、更にその資格を取得した者については、前後の被保険者期間を合算する。

4 前三項の規定は、被保険者の種別ごとに適用する。

5 同一の月において被保険者の種別に変更があつたときは、前項の規定により適用するものとされた第二項の規定にかかわらず、その月は変更後の被保険者の種別の被保険者であつた月(二回以上にわたり被保険者の種別に変更があつたときは、最後の被保険者の種別の被保険者であつた月)とみなす。

更新日:2022年05月25日
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