労基法その他労働法
営業マンの給与を全額歩合給とすることはできますか。
給与のすべてを営業実績などに応じた歩合給にすることも可能ですが、労働基準法27条において、出来高払い制その他請負制で使用する労働者の賃金については、働いた労働時間に応じて一定額の賃金の保障を行うことを使用者に義務づけています。この規定に従えば、全額歩合給とすること自体は否定されていませんが、営業実績が全く無かったため賃金を一切支払わないということは許されず、給与に一定の保障給を設定する必要があります。
保障給について法令上は具体的な定めはありませんが、通達において、「常に通常の実収賃金と余りへだたらない程度の収入が保障されるように保障給の額を定める」とされており、目安として、労働基準法26条の休業補償との均衡から少なくとも平均賃金の100分の60程度とすることが妥当であると解されています。
更新日 2021年10月18日
労働基準法第27条
(出来高払制の保障給)
第二十七条 出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。
労働基準法第26条
(休業手当)
第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
(昭和22.9.13 発基17、昭和63.3.14 基発150・婦発47)
本条は労働者の責に基かない事由によって、実収賃金が低下することを防ぐ趣旨であるから、労働者に対し、常に通常の実収賃金と余りへだたらない程度の収入が保障されるように保障給の額を定めるように指導すること。
なお、本条の趣旨は全額請負給に対しての保障給のみならず一部請負給についても基本給を別として、その請負給について保障すべきものであるが、賃金構成からみて固定給の部分が賃金総額中の大半(概ね6割程度以上)を占めている場合には、本条のいわゆる「請負制で使用する」場合に該当しないと解される。