労務管理事例集

労基法その他労働法

年次有給休暇を消化し、退職日までの出勤日をすべて休みたいとの年次有給休暇の請求が、退職間際の従業員からありました。年次有給休暇の残日数分をすべて会社が買い上げることで、退職日まで出勤してもらうことは可能でしょうか。急に会社に出勤しなくなるようでは引継ぎもできないので大変困っています。

 会社が本人の同意なく年次有給休暇の残日数をすべて又は一部買い上げ、出勤を強制することはできません。(同時に従業員本人から未消化の年次有給休暇の買い上げを請求することもできません。)対応策としては、本人との話し合いにより退職日を遅らせることや、退職日以降消滅する年次有給休暇を買い上げることを約束し、出勤を奨励することなどが考えられます。ただし、それらの提案を本人が拒絶すれば、請求どおりに与えるのが原則になります。
 なお、就業規則に根拠規定があり、36協定の範囲内であれば、引継ぎのために休日労働を命令することができることも忘れてはいけません。

2020年3月23日 社会保険労務士 杉山 定広

(昭30.11.30 基収4718号)
年次有給休暇の買上げを予約し、これに基づいて法第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じないし請求された日数を与えないことは、法第39条の違反である。

更新日:2020年03月23日
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