労務管理事例集

労基法その他労働法

就業規則で副業を禁止にしていますが、副業をしている社員がいて困っています。懲戒処分は可能でしょうか。

 就業時間外は労働者の自由に過ごすことができる時間帯であるため、就業規則に副業禁止を謳ってあっても、副業によって会社の秩序を乱し、又は労働者の労務提供が困難になるといった場合以外は、懲戒処分は原則として認められません。厚生労働省から副業・兼業の促進に関するガイドラインが示され、また厚生労働省のモデル就業規則では副業を認める立場を示しており、今後は、原則として副業を認めつつも、副業を認めないケースを限定して定めるなど、副業により発生するリスクの防止に主眼を置いた内容へと就業規則を見直しすることをお勧めします。

2020年4月27日 社会保険労務士 堀 良司

【会社の秩序を乱す行為として認められた判例】

■協立物産事件(東京地判平成11年5月28日)

 労務者は、使用者との雇用契約上の信義則に基づいて、使用者の正当な利益を不当に侵害してはならないという付随的な義務を負い、原告の就業規則にある従業員の忠実義務もかかる義務を定めたものと解されるとしたうえで、外国会社から食品原材料等を輸入する代理店契約をしている会社の従業員について、在職中の競業会社設立は、労働契約上の競業避止義務に反するとされた事案。

【労働者の労務提供が困難になる行為として認められた判例】

■小川建設事件(東京地決昭和57年11月19日)

 毎日6時間にわたるキャバレーでの無断就労を理由とする解雇について、兼業は深夜に及ぶものであって余暇利用のアルバイトの域を超えるものであり、社会通念上、会社への労務の誠実な提供に何らかの支障を来す蓋然性が高いことから、解雇有効とした事案。

更新日:2020年04月27日
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