労務管理事例集

労基法その他労働法

当社では業務効率向上とコスト削減の一環として、ペーパーレス化の推進をすすめています。その中で、現在、紙で印刷し、交付している給与明細をメールで配信することを検討しております。法令面では問題はないのでしょうか?

 所得税法では、給与明細や源泉徴収票を書面で交付することに代えて、電子メールや社内LAN等の電磁的方法により提供(電子交付)することができると規定してあります。そのため給与明細をメール配信等の電子交付をすることは可能なのですが、その前に遵守すべきことがあります。

1つ目は、給与明細や源泉徴収票を電子交付するには、電子交付する従業員から事前に承諾を得なければいけません。承諾を得るにあたっては、電子交付で用いる電磁的方法の種類及び内容を示さなければならず、承諾は書面または電磁的交付によって得なければならないとされています。

2つ目は、従業員が電子交付に事前承諾した場合でも、従業員から書面での交付の請求があった場合は、その請求に応じなければなりません。

3つ目は、電子交付を受けた従業員がパソコン等のディスプレイに内容を表示できるような措置と内容を書面へ印刷できるような措置を講じなければならないことです。

 メールで配信することは、業務効率の向上、経費の削減につながる一方、個人情報の流出などのリスクも高まるため情報セキュリティのケアも十分にする必要があります。

 2020年5月26日 特定社会保険労務士 稲葉 信博

(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)

【所得税法231条】

居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。

2 前項の給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、同項の規定による給与

等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書の交付に代えて、政令で定めるところによ

り、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者の承諾を得て、当該給与

等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書に記載すべき事項を電磁的方法により提供す

ることができる。ただし、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者の請

求があるときは、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書を当該給与等、退

職手当等又は公的年金等の支払を受ける者に交付しなければならない。

 

(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承諾等)

【所得税施行令356条】

居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、法第二百三十一条第二項本文(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)の規定により同項に規定する給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書に記載すべき事項を提供しようとするときは、財務省令で定めるところにより、あらかじめ、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。

2 前項の規定による承諾を得た給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者から書面又は電磁的方法により法第二百三十一条第二項本文の規定による電磁的方法による提供を受けない旨の申出があつたときは、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者に対し、同項に規定する給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書に記載すべき事項の提供を電磁的方法によつてしてはならない。ただし、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。

 

(支払通知書に記載すべき事項の提供に係る電磁的方法)

【所得税施行規則第92条】

法第二百二十五条第三項(支払通知書)に規定する財務省令で定める方法は、次に掲げる方法とする。

一 電子情報処理組織を使用する方法のうち次に掲げるもの

イ 送信者等(送信者又は当該送信者との契約によりファイルを自己の管理する電子計算機に備え置き、これを受信者若しくは当該送信者の用に供する者をいう。ロにおいて同じ。)の使用に係る電子計算機と受信者等(受信者又は当該受信者との契約により受信者ファイル(専ら当該受信者の用に供せられるファイルをいう。以下この条、次条第二号及び第九十五条の二第二号(源泉徴収票に係る電磁的方法による提供の承諾)において同じ。)を自己の管理する電子計算機に備え置く者をいう。イにおいて同じ。)の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じてその提供すべき事項に係る情報(以下この条、次条第二号及び第九十五条の二第二号において「記載情報」という。)を送信し、受信者等の使用に係る電子計算機に備えられた受信者ファイルに記録する方法

ロ 送信者等の使用に係る電子計算機に備えられた受信者ファイルに記録された記載情報を電気通信回線を通じて提供を受ける者の閲覧に供する方法

二 光ディスク、磁気ディスクその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもつて調製する受信者ファイルに記載情報を記録したものを交付する方法

2 前項各号に掲げる方法は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。

一 受信者ファイルに記録されている記載情報について、提供を受ける者が電子計算機の映像面への表示及び書面への出力ができるようにするための措置を講じていること。

二 前項第一号に掲げる方法(受信者の使用に係る電子計算機に備えられた受信者ファイルに記載情報を記録する方法を除く。)にあつては、提供を受ける者に対し、記載情報を受信者ファイルに記録する旨又は記録した旨を通知するものであること。ただし、提供を受ける者が当該記載情報を閲覧していたことを確認したときは、この限りでない。

更新日:2020年06月17日
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