労務管理事例集

労基法その他労働法

歩合給が支払われているとき、有給休暇取得日に支払う賃金はどうすべきでしょうか。

 年次有給休暇の賃金については、労働基準法第39条第9項で定められたもののうちいずれかを支払わなければいけません。そのうち、「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」が多くの事業所において選択されている支払い方法です。この方法で支払う場合の歩合給の取り扱いについて、労働基準法施行規則第25条第6項によって定められており、その賃金算定期間における歩合給の総額を、その賃金算定期間における総労働時間で除した金額に、その賃金算定期間における1日の平均所定労働時間数を乗じた金額を通常の賃金に算入することになっています。

 1日の所定労働時間8時間、その月の所定内労働時間168時間、残業時間32時間、歩合給10万円の場合

 100,000円÷(168時間+32時間)×8時間=4,000円

 つまりこのケースの通常の賃金は、基本給等から求めた通常の賃金に4,000円を加算した額となります。

2020年12月17日 社会保険労務士 杉山定広

(労働基準法第39条第9項)

 使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇の期間又は第四項の規定による有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間又はその時間について、それぞれ、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十条第一項に規定する標準報酬月額の三十分の一に相当する金額(その金額に、五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。)又は当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。

 

(労働基準法施行規則第25条)

 法第三十九条第九項の規定による所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金は、次に定める方法によって算定した金額とする。

一 時間によって定められた賃金については、その金額にその日の所定労働時間数を乗じた金額

二 日によって定められた賃金については、その金額

三 週によって定められた賃金については、その金額をその週の所定労働日数で除した金額

四 月によって定められた賃金については、その金額をその月の所定労働日数で除した金額

五 月、週以外の一定の期間によって定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額

六 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金については、その賃金算定期間(当該期間に出来高払制その他の請負制によって計算された賃金がない場合においては、当該期間前において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金が支払われた最後の賃金算定期間。以下同じ。)において出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間数で除した金額に、当該賃金算定期間における一日平均所定労働時間数を乗じた金額

七 労働者の受ける賃金が前各号の二以上の賃金よりなる場合には、その部分について各号によってそれぞれ算定した金額の合計額

更新日:2021年01月07日
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