労務管理事例集

労基法その他労働法

通勤手当を不正に受けとっている社員を懲戒解雇することは可能ですか。

 社員が実際の通勤経路と異なる虚偽の通勤経路を申請し、不正に通勤手当てを受給していた場合、就業規則違反等を理由に懲戒処分を行うことが考えられます。そのうち解雇にできるかの判断については金額の大きさや悪質性の程度によって変わります。

 懲戒解雇が認められた「かどや製油事件」、逆に懲戒解雇が認められなかった「光輪モータース事件」(下記参照)を比較していただくとわかるとおり、「通勤手当を不正に受け取っていた」という事実だけで懲戒解雇が有効になるわけではありません。通勤手当を不正に受け取っていたものの、金額が少額だったり悪質性が高くなかったりする場合等では、懲戒解雇が無効となることがありますので、慎重な対応が求められます。


2021年2月9日 社会保険労務士 堀 良司

【懲戒解雇が認められた判例】 

かどや製油事件(東京地裁平成11年11月30日)

 従業員が品川区に暮らしているが宇都宮市の住民票を提出し転居の届出を出し、約4年半に渡り通勤費を約231万円、不正受給していた。勤務態度の不誠実さ等もが裁判で認められ、会社側の懲戒解雇が有効だと判決された。 


【懲戒解雇が認められなかった判例】

 光輪モータース事件(東京地裁平成18年2月7日)

 会社が通勤代の支払を認める通勤経路を申請しつつ、それよりも不便だが安い通勤経路を利用し、4年8ヶ月に渡り、約34万円を不正受給していたことに対して、懲戒解雇を求めたが詐欺的な場合と比べて悪質性が認められず、経済的損害が多額と言えないことが考慮され懲戒解雇は無効と判決された。

更新日:2021年02月09日
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