労務管理事例集

その他労務相談

日給月給制で欠勤控除が多い場合の平均賃金はどのように算定したらよいでしょうか。 

欠勤しなかった場合の賃金を所定労働日数で除した60%を最低保障額とします。

 平均賃金は、事由発生日以前3ヵ月の賃金を、3ヵ月の総暦日数で除して計算するのが原則です。ただし、日給制、時給制、出来高払制その他の請負制による場合は、3カ月の賃金総額を実際に労働した日数で除した金額の60%が最低保障額となります。この最低保障額は、賃金の一部または全部が日給等によって定められている場合についてのみ規定したもので、欠勤控除のある日給月給制には適用できないと解されています(昭和27年5月10日 基収6054号)。ただし、この方法により単純に計算すると著しく低額となる場合については、「厚生労働大臣の定めるところによる」とされており、次の解釈が示されています。(昭和30年5月24日 基収1619号) 

具体的には、以下の各種の賃金ごとに区分してそれぞれ計算し、その合計額(1+2+3)が最低保障額となります。 

1 日給制、時間給制又は出来高制その他の請負制の部分

     

 2 日給月給等の部分(月、週その他一定の期間によって定められ、かつ、欠勤日数もしくは欠勤時間数に応じて減額される部分) 

  

 3 月給、週給等の部分(月、週その他一定の期間によって定められ、かつ、欠勤日数又は欠勤時間数に応じて減額されない部分) 

    

2021年3月16日 社会保険労務士 堀 良司

<昭和27510日 基収6054号>

~略~

欠勤日の賃金を控除する為、月給について日割計算を行うことは賃金自体の計算に関することであって、それがため当該日給を日によって定められた賃金とみなすことはできない。従って欠勤日数が多い場合に月給者の平均賃金が低額になっても、法律上は法第12条第1項第一号を適用すべきではなく、その額が著しく低く不合理と認められる場合の救済については同条第8項によるべきである。

 

 <昭和30524日 基収1619号>

賃金の一部もしくは全部が、月、週その他一定の期間によって定められ、且つ、その一定の期間中の欠勤日数若しくは欠勤時間数に応じて減額された場合の平均賃金(算定期間が4週間に満たないものを除く。)が左(注釈:下)の各号の一によってそれぞれ計算した金額の合計額に満たない場合には、これを昭和24年労働省告示第5号第2条に該当するものとし、自今、かかる場合については、 同条の規定に基き都道府県労働基準局長が左の各号の一によってそれぞれ計算した金額の合計を以ってその平均賃金とする。

 

一 賃金の一部が、労働した日もしくは時間によって算定され、又は出来高払制によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60

二 賃金の一部もしくは全部が、月、週その他一定の期間によって定められ、且つ、その一定の期間中の欠勤日数もしくは欠勤時間数に応じて減額された場合においては、欠勤しなかった場合に受けるべき賃金の総額をその期間中の所定労働日数で除した金額の100分の60

三 賃金の一部が月、 週その他一定の期間によって定められ、且つ、その一定期間中の欠勤日数もしくは欠勤時間数に応じて減額されなかった場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額

 

更新日:2021年03月16日
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