労務管理事例集

その他労務相談

求人を行うにあたり、社員に募集の勧誘を呼びかけ、知人、友人の紹介を受ける社員紹介制度(リファラル採用)を実施しようと考えています。その制度を利用して採用に至った場合に、紹介した社員に謝礼を出すことを考えています。問題ないでしょうか。

職業紹介事業については、有料であれば認可(職業安定法第30条)、無料であれば許可(同第33条)を受けなければなりませんが、これは職業紹介を「業」として行っている(一定の目的を持って反復継続的に行っている)場合の要件です。社員からの紹介を受けることは、「業」として行っていないため、職業紹介事業に該当しません。

 また職業安定法第40条で「労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第36条第2項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない」と規定されており、手当などの賃金、給料として社員に支給するのであれば、第40条に抵触しないと考えられます。賃金、給料として支給する場合は、支給基準、金額などを規程に定めておくことが求められます。

 ただし、支給額が社会通念に照らして高額であり、性質が賃金、給料とみなされないような場合は、別の報酬と判断され、職業安定法に抵触する可能性があります。 

2021年10月19日 特定社会保険労務士 杉山 定広

職業安定法 

(有料職業紹介事業の許可)

 第30条 有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。


 (無料職業紹介事業)

 第33条 無料の職業紹介事業(職業安定機関及び特定地方公共団体の行うものを除く。以下同じ。)を行おうとする者は、次条及び第33条の3の規定により行う場合を除き、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。 


(委託募集)

 第36条 労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして報酬を与えて労働者の募集に従事させようとするときは、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。

 ② 前項の報酬の額については、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。


 (報酬の供与の禁止)

 第40条 労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第三十六条第二項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。

更新日:2021年10月19日
ページトップへ