労務管理事例集

労基法その他労働法

年次有給休暇の年間5日以上の取得を促す奨励日を設けて一斉に取得することとしました。入社6か月未満の社員も取得できるよう、前倒しで年次有給休暇を付与しました。具体的には、4/1入社の社員について、本来であれば6ヶ月が経過する10/1に10日付与するところ、5/1に5日、8/1に5日のように付与時期を繰り上げ2回に分けて付与しています。 そこで質問ですが、 ① いつまでに5日取得する必要がありますか。 ② 次回以降の付与日はどうなりますか。

①いつまでに5日取得する必要がありますか。

 10日のうち一部を法定の基準日より前倒しで付与した場合は、付与日数の合計が10日に達した日から1年以内に5日の年次有給休暇を取得させなければなりません。 そのため、5/1に5日、8/1に5日付与した場合は、8/1から1年以内に年次有給休暇を5日取得(※1、※2)させる必要があります

②次回以降の付与日はどうなりますか。

 初年度において法定の年次有給休暇の付与日数の一部を法定の基準日より前に付与した場合は、次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、初年度と同じまたはそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げなければなりません。そのため、翌年以降は毎年5/1に年次有給休暇を付与する必要があります。

※1 付与日数の合計が10日に達した日(8/1)以前に一部前倒しで付与した年次有給休暇について、社員が自ら請求し取得した日数分は、年間5日取得にカウントします。

※2 基準日のずれにより期間に重複が生じるため、次の計算式で必要な取得日を算出することが認められています。


算出方法:「月数÷12×5日」

例)初年度(1年目)当年8/1~翌年7/31 

      次年度(2年目)翌年5/1~翌々年4/30

翌年5/1~翌年7/31の期間が重複となるため、当年8/1~翌々年4/30の21か月間に9日(21月÷12月×5日=8.75日)取得させることも可能です。

2022年2月21日 社会保険労務士 安田 尚美

更新日:2022年02月21日
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