労務管理事例集

労基法その他労働法

先日退職した従業員から退職金の請求がありました。退職金規程には支払時期が定められていないのですが、いつまでに支払う必要がありますか。

 労働協約、就業規則、退職金規程などによってあらかじめ支給条件の明確な退職金は、労働基準法上の賃金であり、同法の第23条が適用されることになります。ここには、権利者から請求があったときに7日以内に支払いをしなければならないことが規定されています。つまり退職金の支払時期に定めがない場合は、従業員から請求があったときから7日以内に支払わなければなりません。この期限を越えてしまった場合には遅延損害金を請求されるおそれがあるのでご注意ください。

 退職金は相当高額になる場合もあり、使用者としては7日間で資金調達をするのは困難なこともあります。行政通達(昭和26年12月27日 基収第5483号)にて、退職金については「通常の賃金の場合とは異なり、あらかじめ就業規則等で定められた支払時期に支払えば足りるものである」とされているため、就業規則や退職金規程等で支払時期を定めて、支払期限に余裕をもたせて対応することをおすすめします。

2022年5月6日 社会保険労務士 堀 良司

【労働基準法】

(金品の返還)

第二十三条 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。

2 前項の賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、同項の期間中に支払い、又は返還しなければならない。

更新日:2022年05月07日
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