労務管理事例集

労基法その他労働法

一時的に短時間勤務制度を利用する労働者について、社会保険の加入要件である「労働時間が通常の労働者の4分の3」を下回るケースが発生しました。この場合、社会保険の資格は喪失しなければならないでしょうか

要件を満たせば喪失しません。 

 具体的には以下3点の要件を満たしている場合には、健康保険・厚生年金保険の被保険者として取扱われます。

①労働契約、就業規則および給与規程等に、短時間正社員に係る規定がある

②期間の定めのない労働契約が締結されている 

③給与規程等における、時間あたりの基本給および賞与・退職金等の算定方法等が同一事業所に雇用される同種フルタイムの正規型の労働者と同等である場合であって、かつ、就労実態も当該規程に則したものとなっている

 なお、短時間勤務制度の利用ではなく個別の労働契約による運用や労働条件の変更(社員からパートへの変更)等の場合は、要件を満たさないため社会保険の資格は喪失することになります。(ただし、健康保険・厚生年金保険の適用拡大のため、令和4年10月からは常時100人を超える事業所、令和6年10月からは常時50人を超える事業所に於いては、1週の所定労働時間が20時間以上の労働者であれば、被保険者資格を有する場合があります。)

2022年9月20日 特定社会保険労務士 杉山 定広

【短時間正社員に係る健康保険の適用について平成21年6月30日 保保発第0630001号】 

1 短時間正社員について

(1) 本通知でいう短時間正社員は、「他のフルタイムの正規型の労働者と比較し、その所定労働時間が短い正規型の労働者であって、①期間の定めのない労働契約を締結しているものであり、かつ、②時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同一事業所に雇用される同種フルタイムの正規型の労働者と同等であるもの」であること。

(2) 当該短時間正社員に係る、労働契約、就業規則及び給与規程等において、上記(1)の内容を踏まえた規定が明確になされていること。

2 短時間正社員に係る健康保険の適用について

(1) 短時間正社員に係る健康保険の適用に当たっては、当該事業所の就業規則等における短時間正社員の位置づけを踏まえつつ、労働契約の期間や給与等の基準等の就労形態、職務内容等を基に判断するものであること。

(2) 具体的には、

① 労働契約、就業規則及び給与規程等に、短時間正社員に係る規定がある 

② 期間の定めのない労働契約が締結されている

③ 給与規程等における、時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同一

事業所に雇用される同種フルタイムの正規型の労働者と同等である場合であって、かつ、就労実態も当該諸規程に則したものとなっている場合は、健康保険の被保険者として取り扱うこと。 

(3) なお、労働契約の期間や給与等の基準等の就労形態、職務内容等の基準等におけるフルタイムの正規型の労働者との同等性等について判断が困難な事案については、保険局保険課に協議すること。

更新日:2022年09月26日
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