労務管理事例集

労基法その他労働法

新型コロナウイルス感染症の対策として、食堂での人の集中をさけるために、昼休みを部署ごとに時間差にて取得することになりました。何か手続きが必要なのでしょうか

 労働基準法第34条にて、休憩時間は原則、「一斉にあたえなければならない」と規定しています。これは、事業場単位で義務づけられており、休憩時間の管理の便宜を図る狙いがあります。ただし、①運送業②物品の販売・理容業③金融・保険・広告業④映画の製作・演劇業⑤郵便・電子通信業⑥保健衛生業⑦旅館・飲食店・接客業⑧官公署の事業については、一斉の付与の原則が除外されています。また、事業場における過半数労働組合または過半数代表者との間で書面による協定(労使協定)を締結することによって除外することもできます。労使協定では、一斉に休憩を与えない労働者の範囲とそれらの者に対する休憩の与え方を規定する必要があります。

  ご質問のように、部署ごとに時間差にて休憩時間を取得させる場合には、一斉付与が適用される業種であれば、まずは労使協定を締結しなければいけません。(届出の必要はありません。)また、休憩時間は就業規則の絶対的必要記載事項になりますので、就業規則の休憩時間に関する規定の変更をする必要があります。

 2023年4月5日 特定社会保険労務士 杉山 定広


労働基準法 第三十四条

② 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

労働基準法施行規則

第三十一条 法別表第一第四号、第八号、第九号、第十号、第十一号、第十三号及び第十四 号に掲げる事業並びに官公署の事業(同表に掲げる事業を除く。)については、法第三十四条第二項の規定は、適用しない。

労働基準法施行規則 

第十五条 使用者は、法第三十四条第二項ただし書の協定をする場合には、一斉に休憩を与えない労働者の範囲及び当該労働者に対する休憩の与え方について、協定しなければならない。

労働基準法

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項 

二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項 

三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。) 

三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項 

四 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項 

五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項 

六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項 

七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項 

八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項 

十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

更新日:2023年04月13日
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