労務管理事例集

労基法その他労働法

4月1日が有給付与日の社員が、4月15日で退職予定です。有給付与日の時点で退職が決まっている場合でも有給休暇を付与しなければいけませんか?また、退職日までの期間に取得請求をされた際は認めなければいけませんか。

年次有給休暇は過去の勤務実績に基づき付与される法的権利なので、退職予定の有無に関わらず付与しなければなりません(同法第39条第2項の但し書きにある出勤率を満たしていない場合を除く)。また、退職日までの期間に請求された有給休暇についても取得を拒むことはできません。

 会社は、労働基準法で「有給休暇請求に対する時季変更権」が認められており、請求された時季が事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に有給休暇を与えることができるとされていますので、退職日までの間の別の労働日と取得日を変更することは可能です。ただし、退職日までの全ての労働日を対象として請求があった場合は、変更できる労働日が存在しないため、時季変更権を行使することはできません。

2023年4月6日 特定社会保険労務士 杉山定広

【労働基準法】

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

② 使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、当該初日以後の一年間においては有給休暇を与えることを要しない。

六箇月経過日から起算した継続勤務年数

労働日

一年

一労働日

二年

二労働日

三年

四労働日

四年

六労働日

五年

八労働日

六年以上

十労働日


⑤ 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

更新日:2023年04月06日
ページトップへ