労基法その他労働法
退職を予定している従業員から残日数分の年次有給休暇を買取って欲しいと言われました。いったんは断ったのですが「普通はやってくれる」と言われ、判断に迷っています。買取りに応じなければいけないのでしょうか。
年次有給休暇の買取りは、原則として認められていません。しかし、労働者が年次有給休暇を使用せず時効や退職等の理由により、年次有給休暇が消滅するような場合、残日数に応じて恩恵的な金銭を給付することは、必ずしも法に違反するものではないとして、例外的に年次有給休暇の買取りが認められます。
原則的に、年次有給休暇残日数の買取りは、会社の義務ではないため、応じる必要はありません。ただし、年次有給休暇の消化が出来なかった理由が会社側の都合に起因する場合は、後にトラブルが生じる可能性があります。そのため、年次有給休暇の買取りについては、労働者の希望退職日までのスケジュール、引継ぎ内容、繁忙期間の有無等を総合的に勘案し、応じるかの判断を行うのが良いでしょう。
2025年2月28日
【労働基準法第39条】
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
【昭30年11月30日 基収四七一八号】
年次有給休暇の買上げの予約をし、これに基づいて年次有給休暇日数を減じ、ないし、請求された日数を与えないことは、労働基準法第39条違反である。
更新日:2025年03月01日