労務管理事例集

労基法その他労働法

職場内で蔓延しては困るため、季節性インフルエンザに感染の疑いがある従業員を一律に休ませることを検討しています。この場合、休ませた期間の賃金を支払わなければならないでしょうか

 労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中当該労働者に、休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされており、使用者の責に帰すべき事由とは、企業の経営者として不可抗力を主張し得ないすべての場合とされています。

 ここでいう不可抗力とは、以下の2つの要件をいずれも満たす必要があります。

①その原因が事業の外部より発生した事故であること

(例:新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく政府・自治体の協力依頼や要請を受けて会社が営業を自粛し従業員を休ませた場合)

②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること

(例:在宅勤務の検討など休業を回避する具体的努力を尽くしたこと)

 休業手当の支払義務の考え方については、上記のような考え方の下で個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案して判断されることとなります。

 今回のケースは①および➁に該当しない使用者の自主的な判断で休業させる場合として、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、休業手当を支払う必要があると考えられます。

2025年1月29日

【労働基準法】

(休業手当)

第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。


【参考資料】

厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」

更新日:2025年01月29日
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