労務管理事例集

労基法その他労働法

労災で休業した従業員に対して、労災事故の相手方の保険会社から、休業損害保険金が支払われ、支払い対象となった期間に休業初日から3日間の待期期間分が含まれていました。この場合、会社は従業員に対して、待期期間分の休業補償を支払う必要はあるのでしょうか。

 労災で休業した場合、待期期間(最初の3日間)については、労災保険からの給付がなされず、会社に災害補償責任が生じるため、休業補償(平均賃金の60%相当)を支払う必要があります。しかし、会社が休業補償を支払う前に、保険会社から休業損害保険金の給付がなされた場合は、その給付額の範囲内において休業補償の義務が免除されることとなります。


 例えば、従業員が業務運転中に追突される事故に遭い負傷して休業した場合、待期期間(最初の3日間)について、会社が休業補償を支払う前に、事故の相手方保険会社から、従業員本人に休業損害保険金が給付されたときは、休業補償の支払いは次のようになります。

○休業損害保険金が、平均賃金の60%未満の額であった場合

会社は、支払われた休業損害保険金と平均賃金の60%相当額の差額分を休業補償として支払う必要があります。

○休業損害保険金が、平均賃金の60%以上の額であった場合

会社は、休業補償を支払う必要はありません。

2025年5月7日

労働基準法84条第1項

この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)又は厚生労働省令で指定する法令に基づいてこの法律の災害補償に相当する給付が行われるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる。


内閣法制局(昭32.2.19法制局1発7号)

使用者が行った損害賠償額の限度で、労働基準法の災害補償責任は免責される。

使用者による災害補償に先立って第三者が損害賠償をした場合、第三者のなした損害賠償額の限度において災害補償責任を免除されると解する。

更新日:2025年06月18日
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