労務管理事例集

労基法その他労働法

従業員同士が社内で喧嘩をして負傷し休業しました。喧嘩の原因は私怨であり、労災には該当しない可能性が高いので、労働者死傷病報告書は提出しなくてもよいですか。

 労災に該当しない場合でも、今回のようなケースは休業すれば労働者死傷病報告書の提出が必要です。労働安全衛生法及び労働安全衛生規則により、以下のような場合は、遅滞なく労働者死傷病報告を労働基準監督署長に提出することとなっているためです。

(1)労働者が労働災害により死亡し、又は休業したとき

(2)労働者が就業中に負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したとき

(3)労働者が事業場内又はその附属建設物内で負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したとき

 このように、業務災害(労災)に該当するか否かに関わらず、「就業中の負傷」や「事業場内またはその付属建設物内で負傷」等で休業する場合には労働者死傷病報告書の提出が必要となります。


 長野県において、業務の打ち合せ中のもみ合いで休業3週間の怪我を負った事案で「労働者が就業中に事業場内で負傷し、4日以上の休業を要したのに、遅滞なく労働者死傷病報告書を提出しなかったもの」として送検(令和5年9月19日)された事例もあります。


 なお、労働者死傷病報告を提出せず、若しくは、虚偽の報告をした場合は、いわゆる「労災かくし」として、50万円以下の罰金に処されることがありますのでご注意ください。

2025年5月9日

【労働安全衛生規則】

(労働者死傷病報告)

第九十七条 事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第二十三号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

2 前項の場合において、休業の日数が四日に満たないときは、事業者は、同項の規定にかかわらず、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間における当該事実について、様式第二十四号による報告書をそれぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

更新日:2025年05月27日
ページトップへ