労務管理事例集

労基法その他労働法

経歴を詐称して入社した者がいます。懲戒解雇できますか。

経歴詐称とは、学歴、職歴、資格、犯罪歴などの事実を偽り、事実を告知しないことをいいます。

経歴詐称は、採用となる重大な経歴の詐称があり、仮に真実を知っていたならば採用しなかったかどうか、企業の秩序維持に支障を来すかどうか、就業規則に定めがあったかどうか等を基準として懲戒解雇できる場合があると考えられています。従って、経歴詐称の全てを懲戒解雇できるわけではありません。判例等に照らし合わせて個々のケース毎に判断が必要です。

■炭研精工事件 平2.2.27 東京地判

「雇用契約は、継続的な契約関係であって、それは労働者と使用者との相互の信頼関係に基礎を置くものということができるから、使用者が、雇用契約の締結に先立ち、雇用しようとする労働者の経歴等、その労働力の評価と関係のある事項について必要かつ合理的な範囲内で申告を求めた場合には、労働者は、信義則上、真実を告知すべき義務を負っているというべきである。」

平3.9.19 最一小判

「本件解雇を有効とした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。」

 

■山口観光事件 平7.6.28 大阪地判

「被告の今後の労働者の雇用計画や原告の労働能力に対する評価を誤らせ、被告が、その従業員の労働力を適切に組織することを妨げるなど被告の経営について支障を生じさせるおそれが少なくなく、原告が真実の年齢を申告したとすれば、被告が原告を採用しない可能性が多分にあり、被告の企業秩序を著しく害するものであって、その企業秩序を回復するには、不正な行為により生じた雇用関係を解消する以外の方法によっては困難であることが認められる。」

 

■西日本アルミニウム事件 昭55.1.17 福岡高判

「控訴会社は現場作業員として高校卒以下の学歴の者を採用する方針をとっていたものの募集広告に当って学歴に関する採用条件を明示せず、採用のための面接の際被控訴人に対し学歴について尋ねることなく、また、別途調査するということもなかった。被控訴人は二か月間の試用期間を無事に了え、その後の勤務状況も普通で他の従業員よりも劣るということはなく、また、上司や同僚との関係に円滑を欠くということもなく、控訴会社の業務に支障を生じさせるということはなかったのであるから被控訴人の本件学歴詐称により控訴会社の経営秩序をそれだけで排除を相当とするほど乱したとはいえず、本件学歴詐称が経歴詐称に関する前記条項所定の懲戒事由に該当するものとみることはできず、本件主位的解雇の意思表示は、その余の点につき判断を加えるまでもなく、無効というべきである。」

更新日:2013年08月09日
ページトップへ